見学と観察で、人間関係の悩みを事前に防ぐ
【この記事のポイント】
保育士の退職理由の上位に「人間関係」があり、約3~4割が実際に退職理由として挙げていることがデータでも示されている。正直なところ、人間関係は入ってみないと分からない部分もありますが、「園見学」「求人票」「面接時の受け答え」から、かなりの部分を予測することはできます。「今の園から逃げたい」だけで選ぶと転職失敗しやすく、「自分が大事にしたい人間関係の条件」を言葉にしてから園を比較した方が、納得度の高い選択になりやすいです。
今日のおさらい3つ
まず、「これだけはもう我慢したくない人間関係のポイント(例:陰口・怒鳴る指導・挨拶をしない文化など)」を3つ書き出し、転職先で絶対に避けたい条件をはっきりさせる。次に、求人票と園のホームページで「職員の年齢層・男女比・理念」を確認し、園見学では「職員の表情・声のトーン・職員同士の声かけ・新人さんへの接し方」を重点的にチェックする。最後に、面接や見学後は、その日のうちに「よかった点・違和感があった点」をメモし、1園だけで決めず2~3園を見比べてから応募の優先順位を決める。
【この記事の結論】
一言で言うと「人間関係で悩まない職場を選ぶには、”求人票”ではなく”現場の空気と園長・主任の姿勢”を見る必要がある」ということです。最も重要なのは、「人間関係で辞めたくなるサイン」と「長く働ける園のサイン」を事前に知り、園見学や面接で意識して観察することです。失敗しないためには、「今の園がつらいからどこでもいい」と勢いで決めるのではなく、「自分にとって安心できる人間関係とは何か」を言語化し、複数園を比較しながら”条件に合う園”を探すことです。
なぜ保育士は人間関係でここまで悩みやすいのか
① データで見る「人間関係」の重さ
夜、スマホで「保育士 人間関係 辞めたい」と打ち込んで、同じような体験談ばかりが目に入ってくる。読み終えても、画面を閉じたあと、胸の中に重たいモヤモヤだけが残る。この感覚、実はあなただけではありません。
求人・転職サイトの調査によると、東京都の調査では、「退職を考える理由」のうち約30%が「人間関係」を理由に挙げており、前回調査では転職経験者の退職理由1位が「職場の人間関係(約38%)」でした。保育士向け人材サービスのアンケートでは、「辞めたいと感じた理由」のうち「人間関係のストレス」が約78%と突出しており、体力・メンタル・給与の理由を大きく上回っています。
数字で見ても、「人間関係」は保育士の離職を考えるきっかけの中で、圧倒的なウェイトを占めています。
② よくあるのが「人間関係=運ゲー」と諦めてしまうこと
正直なところ、現場の保育士さんと話していてよく聞くのが、「結局、人間関係は運だから」という言葉です。園長や主任の性格、ベテランと若手のバランス、陰口・マウントの文化があるかどうか、これらは入ってみないと分からない部分もあります。
ただ、マイナビや転職サイトのコラムでは、転職失敗のパターンとして、「今の園から早く逃げたい気持ちだけで選ぶ」「園見学をしない」「質問をしない」ことを挙げています。成功例では、「園見学で職員同士の会話を観察した」「園長の話し方から”現場を大事にしているか”を見極めた」といった”事前チェック”が共通しているとまとめています。
つまり、人間関係を完全にコントロールすることはできなくても、「外から見えるサイン」を拾うことで、リスクを下げることはできます。
③ 実体験:人間関係で2回転職した保育士さんの「3つの気づき」
以前、幸の華グループの採用面談で出会った30代の保育士さんは、こう話してくれました。「実は、人間関係で2回転職しているんです。1園目は主任との相性、2園目は同僚の陰口文化がきつくて…」と。
彼女が3園目を選ぶときに意識したポイントは3つ。園見学で、職員同士が「子ども以外の話」をしている時の空気感を見る、園長・主任が現場の保育士の名前を自然に呼んでいるかを見る、「ここはちょっと違和感がある」という感覚を「気のせい」にしないということです。
「実は、1・2園目のときも、見学の時に違和感はあったんです。でも、『就職先を決めないと』と焦って、見て見ぬふりをしていました」と振り返っていました。3園目では、「入職後3か月で”笑って雑談できる同期・先輩がいる”感覚」が持てて、今は長く続けられそうだと話してくれました。
人間関係で悩みづらい職場を見抜く”外からのサイン”
① 求人票とホームページで分かること/分からないこと
保育士専門サイトの「園の選び方ガイド」では、求人票や園のホームページで「保育方針・職員の年齢層・男女比」を確認する、人間関係や雰囲気は、求人だけで判断せず、園見学や職員への直接の質問で補うことが勧められています。
求人票とホームページでチェックしたいポイントは、職員の年齢構成(20代ばかり/ベテランばかりになっていないか)、職員の平均勤続年数が書かれているか、理念や保育方針が、具体的なエピソードと一緒に紹介されているか、行事の多さや残業・持ち帰りに触れているかです。
正直なところ、求人票で「人間関係良好」と書いていない園はほとんどありません。だからこそ、「何をもって”良好”と言っているのか」「それを裏付ける具体例が書いてあるか」を冷静に見る必要があります。
② 園見学で必ず見たい”10のポイント”
園見学の重要性について、複数のサイトが「インターネットだけでなく、実際に園を訪れて雰囲気を感じることが一番」と強調しています。人間関係の観点で見たいポイントとしては、職員の表情(笑顔が自然か、それとも疲れた顔・無表情が多いか)、職員同士の声かけ(名前で呼び合い、情報共有できているか)、園長・主任の様子(現場の先生に丁寧に声をかけているか、怒鳴り声が飛んでいないか)、子どもへの声かけ(命令口調が多いか、認める言葉が多いか)、園内の雰囲気(スタッフ同士が挨拶をきちんとしているか、どこかピリピリしていないか)があります。
保育士向けメディアの「園見学でチェックすべき20項目」でも、職員の表情、コミュニケーション、園長の人柄、年齢バランス、配置人数に余裕があるかが挙げられ、「これらは求人票には書かれないが、人間関係と働きやすさを判断する最大の材料」とされています。
僕自身、採用のお手伝いで他園を見学することがありますが、職員室のドアが開いていて、笑い声が聞こえる園、廊下で会った先生が自然に「こんにちは」と声をかけてくれる園は、やはり長く働いている職員の割合も高い印象です。
③ 実体験:園見学後の「違和感メモ」が役立った話
ある求職中の保育士さんは、3園を見学した後、こんなふうにメモを残していました。A園は子どもたちは楽しそうだが職員室の前を通ったとき、誰も挨拶を返してくれなかったのが気になる、B園は園長が最初から最後まで案内してくれて、現場の先生の名前も覚えている感じ、若手とベテランが一緒に笑っていたのが印象的、C園は保育は丁寧そうだが廊下で怒鳴り声が聞こえて、少し怖かったというメモでした。
「実は、求人票だけ見ていたら、A園が一番条件が良くて、最初はそこに決めようとしていました。でも、見学後のメモを見返したら、”あの無視された感じ”を忘れられなくて…。最終的にはB園に応募して、今は落ち着いて働けています」と話してくれました。”違和感メモ”は、時間が経っても自分を守ってくれるセーフティネットになります。
転職前に知っておきたい「失敗パターン」とその回避法
① よくある失敗1:「今よりマシならどこでもいい」で決める
転職で失敗しやすい理由として、マイナビや転職サイトは「現職がつらすぎて、冷静に比較する前に飛び込んでしまう」「園見学や面接で違和感を覚えても、見て見ぬふりをしてしまう」ことを挙げています。
正直なところ、気持ちはとても分かります。追い詰められているときほど、「早く抜け出したい」が最優先になってしまうからです。でも、そこで「今の園と同じ問題を抱えた園」を選んでしまい、結果的に、短期間でまた転職を考えるという負のループに入りやすくなります。
② よくある失敗2:「人間関係以外の条件」をまったく見ていない
離職理由のデータを見ると、人間関係の他にも給与が見合わない、仕事量・残業が多すぎる、体力・メンタルの限界が大きな要因になっていることが分かります。つまり、人間関係が良くても人手不足で常にバタバタしている、行事が多すぎて残業だらけ、だと、結局しんどさは残ります。
園見学チェックリストでも、配置人数に余裕があるか、行事の頻度と職員の負担、書類のICT化や業務分担といった「環境面」も重視するべきポイントとして挙げられています。
③ 比較:人間関係だけで選ぶ vs 条件を整理して選ぶ
「人間関係良さそう」の一発勝負で選ぶ場合、メリットは今の園からは早く抜け出せることですが、デメリットは他の条件(給与・業務量)とのバランスが崩れやすいことです。「人間関係+働き方+自分の希望条件」を整理して選ぶ場合、メリットはミスマッチが減り、長く働きやすいことですが、デメリットは情報収集と比較に少し時間がかかることです。
ケースによりますが、「今すぐ環境を変えないと心身が限界」という状況でなければ、条件整理、情報収集、複数園の比較の3ステップに数週間~1か月かけるだけの価値は十分あります。
よくある質問
Q1:求人票に「人間関係良好」と書いてあれば安心していいですか?
A:その一文だけで判断するのは危険です。園見学で職員の表情・声のトーン・職員同士のやり取りを必ずチェックし、求人票の言葉と現場の空気が一致しているか確認することが大切です。
Q2:園見学では、どんな質問をすれば人間関係が分かりますか?
A:「職員同士でどのように情報共有していますか?」「新人さんが入ったとき、どんなサポートをされていますか?」などの質問が有効です。回答の具体性や、聞かれたときの表情から、内部の雰囲気が垣間見えます。
Q3:見学に行った園で違和感があった場合、それでも応募すべきでしょうか?
A:違和感の内容によりますが、「挨拶をしても返ってこない」「怒鳴り声が頻繁に聞こえる」など、人間関係に直結しそうな違和感がある場合は、慎重に再検討した方が安全です。別の園も見学して比較してから決めるのがおすすめです。
Q4:今の園の人間関係がつらくて、すぐ辞めたいです…。在職中と退職後、どちらで転職した方がいいですか?
A:生活の安定と選択肢の広さを考えると、在職中にある程度次の候補を探しておく方が推奨されています。ただし、心身に限界が来ている場合は、まず休職・退職で健康を優先し、そのうえで冷静に次を考える選択もあります。
Q5:園見学に何園くらい行くのが普通ですか?
A:保育士向けの選び方ガイドでは、「最低でも2~3園は見学し、比較してから決める」ことが勧められています。1園だけで決めると、後から「他も見ておけばよかった」と感じるケースが多いです。
Q6:人間関係の良い園って、本当にあるんでしょうか?
A:完璧な園はありませんが、「お互いさま」と言い合える関係性や、園長・主任が現場の声を聞く文化がある園は確かに存在します。見学や面接で、職員同士が楽しそうに声かけをしているか、意見を言いやすい雰囲気かをチェックしてみてください。
Q7:転職エージェントを使うと、人間関係の情報も教えてもらえますか?
A:保育士専門の転職サービスは、過去の内定者や退職者からのフィードバックを持っていることが多く、「この園は人間関係が理由での退職が多い/少ない」といった傾向を教えてくれる場合があります。ただし、最終判断は自分自身の目と感覚も大切にしてください。
まとめ
保育士が人間関係で退職を考えるケースはデータ上も多く、調査では約30~40%が退職理由に人間関係を挙げており、別のアンケートでは「辞めたい理由」の約78%が人間関係のストレスと答えていることから、これは”珍しい悩み”ではなく、業界全体の大きなテーマです。
それでも、人間関係で悩まない園を選ぶことは不可能ではなく、「求人票やホームページで理念・年齢層・勤続年数などの情報を確認する」「園見学で職員の表情・声かけ・園長の姿勢を観察する」「違和感メモを残し、1園だけで決めず複数園を比較する」というステップを踏むことで、入職前にかなりの部分を見極めることができます。
大事なのは、「今の園から逃げたい」という気持ちだけで動くのではなく、「自分にとって”安心できる人間関係”とは何か」「どんな関わり方なら続けていけそうか」を言語化し、その条件に近い園を、情報と自分の感覚の両方で選んでいく姿勢です。
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