保育士の転職の注意点とは?辞めるべきか迷ったときに後悔しない判断基準

今の職場を辞めるべきか迷う保育士が、前向きな転職かどうかを判断できるように注意点と考え方を整理します

保育士の転職は、環境を変える目的が明確なら前向きな選択です。

判断に必要なのは、辞めたい理由を環境要因と適性要因に切り分けることと、複数園を同じ物差しで比べるための判断基準です。

この記事では、その判断基準を5つに絞って提示します。

厚生労働省の報告書でも、保育士の退職理由の上位は職場の人間関係・給与・仕事量・労働時間と、環境に関するものが並んでいます。

夜、布団の中で求人サイトを開いては閉じる。

「年度途中で辞めたら子どもたちに申し訳ない」「次の園も同じだったらどうしよう」。

そんな迷いを抱えたまま、検索窓に同じ言葉を打ち込んでいませんか。

この記事を読み終える頃には、自分の転職が「逃げ」なのか「前進」なのかを、自分の言葉で判断できるようになります。

【この記事のポイント】

  • 辞めたい理由を「環境要因」と「適性要因」に分ければ、転職すべきかどうかは自分で判断できる
  • 後悔しない転職に必要なのは、複数園を同じ判断基準で比較すること
  • 判断基準は5つ。人間関係の風土・残業と持ち帰り・休憩の実態・理念との一致・キャリアの見通し

この記事の結論

  • 一言で言うと、環境改善を目的とした転職は前向きな選択です。
  • 最も重要なのは、辞めたい理由の言語化。理由が環境にあるなら、園を変えれば解決する可能性が高いです。
  • 失敗しないためには、1園で即決せず、最低2〜3園を同じ基準で比較することです。
  • 迷ったら「見学だけ」から始める。応募前に現場を見られる園を選ぶと、判断材料が一気に増えます。

辞めるべきか迷う保育士が、動き出す前に整理したい3つの注意点

「辞めたい」と感じるのは、あなたが弱いからではありません

まずお伝えしたいのは、辞めたいと感じること自体は異常でも甘えでもない、ということです。

厚生労働省の「保育の現場・職業の魅力向上に関する報告書」では、保育士の退職理由の上位に「職場の人間関係」「給与が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」が挙げられています。

つまり、多くの保育士が辞める理由は「子どもが嫌いになったから」ではなく、働く環境そのものにあります。

実は、保育士資格を持つ人のうち、実際に保育士として働いている人は約半数にとどまるという厚生労働省の調査もあります。

半数の有資格者が現場を離れている背景には、個人の資質ではなく、職場環境の構造的な問題があると考えるのが自然です。

だからこそ、最初にやるべきは自分を責めることではありません。

「私は何が一番つらいのか」を紙に書き出して、不安の正体を言語化することです。

環境要因か適性要因か。この切り分けが転職判断の分かれ道

書き出した理由を、2つに分類してみてください。

1つ目は環境要因。

人間関係、残業や持ち帰り仕事の多さ、休憩が取れない、給与、園の方針との不一致などです。

これらは園を変えれば解決する可能性が高い悩みです。

2つ目は適性要因。

子どもと関わること自体がつらい、保育という仕事そのものに意欲が持てない、という悩みです。

この場合は、転職先を保育園に限定せず、異業種も含めて考える方が納得のいく選択になります。

小牧の園で、若手の保育士に「辞めるって、裏切りじゃないですか?」と聞かれたことがあります。

話を聞くと、彼女のつらさの正体は前の園での人間関係で、保育そのものはむしろ好きだと分かりました。

環境要因が理由なら、転職は裏切りではなく、保育士を続けるための手段です。

ケースによりますが、環境要因と適性要因が混ざっていることもあります。

その場合は「休みの日に子どもの遊びのアイデアを考えるのが苦じゃないか」を目安にすると、切り分けやすくなります。

売り手市場でも、情報不足の転職は失敗します

こども家庭庁の資料では、保育士の有効求人倍率は令和6年4月時点で2.42倍。

全職種平均の1.18倍と比べて2倍以上の売り手市場です。

数字だけ見れば「どこでも受かる」状況ですが、ここに落とし穴があります。

選択肢が多いほど、求人票の条件面だけで決めてしまい、入ってから「思っていたのと違う」と後悔するケースが増えるのです。

よくあるのが、給与額だけで選んで、人間関係や残業の実態を確認しないまま入職するパターン。

退職理由の上位が人間関係である以上、そこを見ずに転職すれば、同じ悩みを繰り返す確率は下がりません。

求人票に書かれていない情報は、見学と質問でしか手に入りません。

だから転職活動は「応募」からではなく「見学」から始めるのが安全です。

後悔しなかった保育士が使っていた判断基準と、比較のリアルな進め方

転職を決める前の判断基準5つ。どの園の比較にもそのまま使えます

私たちが転職相談を受けるときにお伝えしている判断基準は、次の5つです。

これは幸の華に限らず、どの園を比較するときにも使える基準です。

1つ目、人間関係の風土。

見学時に職員同士の会話の口調や、先輩が後輩に話しかける表情を見ます。

2つ目、残業と持ち帰り仕事の実態。

保育士の労働環境研究では、持ち帰り仕事が週5日になるとバーンアウトへの直接的な影響が見られると報告されています。

「制作物はいつ、誰が作っていますか」と具体的に聞くのが有効です。

3つ目、休憩の実態。

同じ研究分野では、30分程度の休憩確保がバーンアウト予防に重要とされています。

「休憩はどこで取っていますか」と場所を聞くと、実態が見えやすいです。

4つ目、理念と自分の保育観の一致。

子どもを急かす保育か、待つ保育か。自分が心地よく働ける方針かを確かめます。

5つ目、キャリアの見通し。

3年後にどんな役割を任されるのか、研修があるのかを聞きます。

5つすべてが満点の園は、正直なところ、なかなかありません。

自分にとって譲れない上位2つを決めておくと、比較で迷いにくくなります。

比較した人が確認していたポイントは「条件」より「現場」でした

一宮の園に見学に来られた転職検討中の方が、こう話していました。

「求人票は3園ともほとんど同じに見えて、逆に決められなくなったんです」。

その方が最終的に確認していたのは、条件表ではなく現場の空気でした。

夕方の忙しい時間帯に、保育士が子どもにどんな声をかけているか。

事務室で園長と職員がどんな距離感で話しているか。

見学の時間帯を選べるなら、あえて忙しい夕方を希望するのも一つの方法です。

取り繕えない時間帯にこそ、園の素の姿が出ます。

もう一つ、比較中の方がよく確認しているのが「辞めた人の理由」です。

聞きにくい質問ですが、誠実に答えてくれるかどうか自体が、園の透明性を測る材料になります。

不安だった人が納得できた、相談から決定までの時系列

実際の検討プロセスを時系列で紹介します。

相談前は、ほとんどの方が「今より悪くなったらどうしよう」という不安を口にされます。

転職サイトの口コミを読み込んでは、かえって混乱してしまった、という声も多いです。

比較中は、別の迷いが出てきます。

「A園は給与が良いけど雰囲気が硬い、B園は雰囲気が良いけど通勤が遠い」。

ここで先ほどの判断基準5つに立ち返り、自分の上位2つで採点し直すと、順位が見えてきます。

安心につながった理由として多いのは、見学で働く人の表情を直接見られたことです。

最初は半信半疑で見学に来た方が、「求人票では分からないことが全部見えた」と話されたこともあります。

決定前に確認していたのは、労働条件の書面と、入職後のフォロー体制です。

口頭の説明と書面が一致しているか、最初の3か月は誰がサポートしてくれるのか。

ここまで確認して決めた方は、入職後のギャップがほとんどありません。

よくある質問

Q1. 年度途中で辞めるのは非常識ですか?

A1. 非常識ではありませんが、引き継ぎ期間として退職希望日の1〜3か月前には園に伝えるのが現実的です。

体調を崩してからでは遅いので、限界まで我慢する方がリスクは大きいです。

円満退職と転職成功は両立できます。

Q2. 辞めたい理由が人間関係だけでも、転職していいのでしょうか?

A2. 問題ありません。厚生労働省の報告書でも人間関係は退職理由の上位です。

人間関係は個人の努力だけでは変えにくい環境要因なので、園を変えることが有効な解決策になります。

Q3. 転職は在職中と退職後、どちらで動くべきですか?

A3. 収入が途切れない在職中の活動が基本です。

ただし心身の不調がある場合は退職後の療養を優先してください。

有効求人倍率2.42倍の売り手市場なので、ブランクを過度に恐れる必要はありません。

Q4. 何園くらい比較すればいいですか?

A4. 最低2〜3園の見学をおすすめします。

1園だけでは比較の物差しができず、5園以上だと迷いが増える傾向があります。

同じ判断基準で採点表を作ると比べやすいです。

Q5. 見学で残業について聞いたら、印象が悪くなりませんか?

A5. なりません。むしろ長く働く前提の質問として好意的に受け取る園が多いです。

「残業はありますか」より「制作物はいつ作っていますか」と聞くと、実態が具体的に分かります。

Q6. 小規模園と大規模園、転職先としてどちらが働きやすいですか?

A6. 一概には言えず、規模より運営方針で決まります。

小規模園は子ども一人ひとりと向き合いやすく、大規模園は行事の規模や学べる幅に強みがあります。

自分の保育観に合う方を選んでください。

Q7. 転職せずに今の園で状況が良くなる可能性はありますか?

A7. あります。園長の交代や体制変更で環境が変わった例は実際にあります。

まず上司に相談し、3〜6か月で変化がなければ転職活動を始める、と期限を区切ると冷静に判断できます。

Q8. ブランクがあっても転職できますか?

A8. できます。保育士資格保持者の約半数が現場を離れている状況で、復職者を歓迎する園は多いです。

ブランクの長さより、再開したい理由を自分の言葉で話せることが大切です。

まとめ

保育士の転職は、環境改善が目的なら前向きな選択です。

辞めたい理由を書き出し、環境要因と適性要因に切り分ける。

そこから始めれば、転職すべきかどうかの答えは自分の中に見えてきます。

判断基準は5つ。

人間関係の風土、残業と持ち帰りの実態、休憩の実態、理念との一致、キャリアの見通し。

この基準で複数園を比較すれば、求人票の印象や給与額だけに流されない選択ができます。

例外もあります。

心身に不調が出ているなら、比較検討より先に、休むことを優先してください。

健康が戻ってからの方が、良い判断ができます。

複数園を比較する前提で、まずは職場見学から始めるのが安全です。

幸の華は、愛知県小牧市・一宮市・名古屋市で8園の認可保育園を運営しており、見学だけのご相談も受け付けています。

応募→職場見学→面接という流れなので、応募後でも現場を見てから判断できますし、残業がほぼない働き方も比較材料の一つとして見ていただけます。

ある相談者の方が入職から数か月後、「日曜の夜に月曜のことを考えても、胃が重くならなくなりました」と話してくれました。

転職のゴールは園を変えることではなく、そういう日常を取り戻すことだと思っています。

この記事のまとめ:要点3つ

  • 辞めたい理由が環境要因なら、転職は逃げではなく保育士を続けるための前向きな手段
  • 判断基準5つ(人間関係・残業/持ち帰り・休憩・理念・キャリア)で最低2〜3園を比較する
  • 応募より先に見学。書面確認とフォロー体制の確認まで済ませてから決める

迷っている今こそ、情報を集める一番いいタイミングです。

まずは1園、見学の予約から始めてみてください。


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