保育士を辞めたい…辞めるリスクは?後悔しないために整理すべき3つの理由

仕事を辞めたいと感じている保育士が、辞めるべきか続けるべきかを冷静に判断できるように考え方を整理します

「保育士を辞めたい」と感じたら、最初にすべきは退職の決断ではなく、理由を3つに分類することです。

理由が「職場」にあるのか「職業」にあるのか「生活」にあるのかで、取るべき選択はまったく変わります。

厚生労働省の報告書では、退職理由の上位は人間関係・給与・仕事量・労働時間で、その多くは職場を変えれば解決できる性質の問題です。

辞めたいと感じること自体は、逃げでも甘えでもありません。

日曜の夜、月曜のシフトを思い出して息が重くなる。

「明日行きたくない」「でも子どもたちはかわいい」「辞めたら生活はどうなる?」。

その揺れを否定せず、辞めるリスクと続けるリスクを同じテーブルに並べて、自分で納得して決められる判断基準を整理します。

【この記事のポイント】

  • 辞めたい理由を「職場・職業・生活」の3つに分類すると、退職・転職・継続のどれが合うか見えてくる
  • 辞めるリスクと辞めないリスクは両方あり、片方だけ見て決めると後悔につながりやすい
  • 後悔しなかった人は、退職を決める前に「4つの判断基準」で複数の選択肢を比較していた

この記事の結論

  • 一言で言うと、辞めたい気持ちの正体を言語化することが最初の一歩。
  • 最も重要なのは、感情が大きく動いた日に即決しないこと。
  • 失敗しないためには、辞める・移る・続けるの3択を同じ基準で比較すること。
  • 職場が原因なら、保育士を辞めずに職場だけ変える選択肢がある。

「辞めたい」と感じるのは普通のこと──不安の正体を言語化する

あなただけではない──数字が示す保育士の離職事情

まず知ってほしいのは、辞めたいと感じる保育士は珍しくないという事実です。

厚生労働省の調査では、保育士資格を持つ人のうち、実際に保育士として働いているのは約半数にとどまります。

そして退職理由の上位は「職場の人間関係」「給与が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」。

つまり多くの人は、子どもと関わる仕事が嫌になったのではなく、働く環境を理由に離れています。

正直なところ、私たちも採用面談で「辞めたいと思う自分は保育士失格でしょうか」と聞かれることがあります。

失格ではありません。

環境への違和感に気づけるのは、自分の働き方を真剣に考えている証拠です。

そう感じるのは普通のことだ、という前提から始めてください。

理由を「職場・職業・生活」の3つに分ける

結論として、辞めたい理由は3つに分類できます。

1つ目は職場要因──人間関係、残業や持ち帰りの多さ、園の方針との不一致。

2つ目は職業要因──子どもの命を預かる責任がつらい、保育の仕事そのものが合わない感覚。

3つ目は生活要因──結婚・出産・介護・体調不良など、生活との両立の問題。

職場要因なら、転職で解決する可能性が高い。

職業要因なら、異業種への転職や働き方の転換も含めて考える価値があります。

生活要因なら、辞める前に時短勤務やシフト調整など、職場と交渉できる余地を探る。

分類が違えば、選ぶべき答えも違います。

辞めるリスクと辞めないリスク──両方をテーブルに載せる

辞めるリスクは主に3つあります。

収入が途切れる、または下がるリスク。

勢いで転職して、同じ問題を次の園でも繰り返すリスク。

「もう少し頑張れたかもしれない」という後悔が残るリスク。

一方で、辞めないリスクもあります。

保育士の労働環境研究では、持ち帰り仕事が週5日になるとバーンアウトへの直接的な影響が見られると報告されています。

休憩時間が短い保育士ほど疲労が強いというデータもあり、30分程度の休憩すら取れない状態が続いているなら、それは我慢で解決する問題ではありません。

心身を消耗しきってからでは、転職活動をする気力さえ残らなくなります。

どちらのリスクもゼロにはできない前提で、いま自分がどちら側に近いかを見る必要があります。

後悔しなかった人はどう決めたか──判断基準と検討プロセス

他園比較にもそのまま使える4つの判断基準

不安だった人が納得できた判断基準は、次の4つに集約されます。

1つ目、辞めたい理由が今の職場に固有か、どの園でも起こることか。

2つ目、その問題を今の職場で改善する相談や交渉をしたか(結果が出るかは別として)。

3つ目、転職先の候補を実際に2〜3園見学して比較したか。

4つ目、収入が数か月途切れても生活が回る備えがあるか。

この4つは、転職先を選ぶときの他園比較にもそのまま使えます。

どの園を見るときも「自分の辞めたい理由が、この園では構造的に起きにくいか」を確認すればよいからです。

たとえば残業が理由なら残業を減らす仕組みを、人間関係が理由なら職員同士の空気を、同じ質問で全園に確かめる。

比較の物差しを固定することで、見学時の印象に流されにくくなります。

こども家庭庁の資料では保育士の有効求人倍率は令和6年4月時点で2.42倍と、全職種平均1.18倍を大きく上回ります。

選べる立場にあるからこそ、基準を持って選ぶことが重要になります。

ある保育士の検討プロセス──相談から決断までの時系列

一宮市の園に転職してきた保育士さんの例です(個人が分からないよう詳細は変えています)。

相談前は「辞めたいなんて口にしたら引き止められるか、嫌な顔をされるか」と、誰にも話せないまま半年抱え込んでいたそうです。

比較を始めてからも迷いは消えず、「どの園も見学のときはよく見えるから信用できない」と、最初は半信半疑だったと言います。

安心につながったのは、見学先ごとに残業の実態や休憩の取り方を数字で質問し、答えを見比べたことでした。

曖昧に答える園と、具体的に答える園の差がはっきり見えたそうです。

「比べる基準ができた時点で、気持ちがだいぶ軽くなった」とも話していました。

迷いが消えたのではなく、迷いの置き場所ができた、という感覚に近いのだと思います。

決定前には「持ち帰り仕事が本当にないか」「行事前の働き方はどうなるか」を再確認し、納得してから前の園に退職を伝えました。

転職して劇的に何かが変わったわけではないけれど、日曜の夜に翌日の準備で憂うつにならなくなった、と話してくれました。

続ける・移る・離れる──3つの選択肢を公平に見る

転職だけが正解ではありません。

今の園で交渉して続ける選択には、築いてきた人間関係や子どもとの関係を保てる大きな利点があります。

実際、業務分担の見直しや行事の縮小で負担が改善した園もあります。

異業種へ移る選択にも合理性があります。

保育で培った対人スキルや段取りの力は、他の業界でも評価されます。

一度離れて生活を立て直し、数年後に現場へ戻る人も少なくありません。

保育士資格は失効しないので、「今は離れる」ことも対等な選択肢として扱ってください。

ケースによりますが、比較した人が最終的にその園を選んだ理由として多いのは、条件の良さより「質問に正直に答えてくれた」という信頼でした。

どの道を選ぶにせよ、比較のプロセスそのものが後悔を減らします。

よくある質問

Q1. 辞めたいと思うのは甘えですか?

A1. 甘えではありません。資格保持者の約半数が保育士として働いていない現実があり、退職理由の上位は人間関係・給与・仕事量・労働時間という環境要因です。

Q2. 辞める前に最低限やるべきことは何ですか?

A2. 理由の分類(職場・職業・生活)、改善の相談、2〜3園の見学比較、生活資金の確認の4つです。この順で進めると勢い任せの退職を防げます。

Q3. 年度途中で辞めるのはダメですか?

A3. 法律上は可能ですが、引き継ぎや配置の面で園との調整は必要です。心身が限界なら年度末を待つ必要はありません。健康が最優先です。

Q4. 辞めたい気持ちを園に相談したら気まずくなりませんか?

A4. ケースによりますが、「辞めたい」ではなく「負担を相談したい」と伝えると建設的に進みやすいです。相談した事実は、転職判断の材料にもなります。

Q5. 転職しても同じことの繰り返しになりませんか?

A5. 理由を分類しないまま移ると繰り返しやすいです。辞めたい原因が次の園では構造的に起きにくいかを、見学で数字と実例から確認してください。

Q6. 保育士を完全に辞めて異業種に行くのはリスクが高いですか?

A6. 一定のリスクはありますが、対人スキルは他業界でも評価されます。資格は失効しないため、離れてから現場に戻る道も残ります。

Q7. 辞める判断はいつまでに決めるべきですか?

A7. 保育業界の採用は年度替わりに向けて動くため、逆算すると秋から冬が情報収集の目安です。ただし心身に不調が出ているなら、時期より健康を優先してください。

Q8. 貯金が少なくても辞めていいですか?

A8. 収入の空白に耐えられないと、焦って条件の合わない園を選ぶ失敗につながります。在職中に見学と比較を進める方法なら、空白を作らずに済みます。

まとめ

辞めたいという気持ちは、否定するものでも、すぐ行動に移すものでもなく、まず言語化するものです。

理由が職場にあるのか、職業にあるのか、生活にあるのか。

分類できれば、退職・転職・継続・休息のどれが自分の答えに近いかが見えてきます。

そして、どの道を選ぶにしても、比較のプロセスが後悔を減らします。

4つの判断基準──理由の所在、改善の相談、複数園の見学、生活の備え──は、そのまま次の職場選びの物差しになります。

時間をかけて比較したという事実そのものが、決めたあとの迷いを小さくしてくれます。

1園だけ見て即決しないこと。

これが、辞めたい気持ちと向き合った人たちが最後に口をそろえるポイントです。

在職中に比較を始めるなら、まずは職場見学からが安全です。

幸の華(愛知県小牧市・一宮市・名古屋市の認可保育園8園)でも見学だけのご相談を受け付けており、「残業ありますか?」という質問には「ほぼありません」と実態のままお答えしています。

他の園と同じ質問をぶつけて、同じ基準で比べたうえで判断してください。

この記事のまとめ:要点3つ

  • 辞めたい理由を「職場・職業・生活」に分類すると、取るべき選択肢が変わる
  • 辞めるリスクと辞めないリスクを両方並べて、感情が大きく動いた日に即決しない
  • 4つの判断基準で複数園を比較したプロセスそのものが、後悔を防ぐ

まずは今夜、辞めたい理由を3つの分類でメモに書き出すことから始めてみてください。


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